顎関節症。アゴが痛い。噛み合わせが悪く、口が大きく開かない。30代女性
Hさん:30代 女性 会社員
来院時の症状
顎関節症。左の顎が痛い。口を開けると左顎から音がする。特に朝の症状が強い。
カウンセリング・検査
口を開けると左顎から音がする。半年ほど前からは顎の痛みも強く、大きく口が開かない。もともと噛み合わせが悪かったので、歯医者で診察を受けたところ顎関節症と診断、治療を行ったが、あまり改善はしなかった。硬い物、大きい物が食べられない。特に朝の症状が強く、朝ごはんを食べる時に苦労する事がある。仕事はオフィスでのパソコン作業が中心。
検査の結果、左顎にクリック(異音)、左の咬筋(こうきん)に活性化したトリガーポイントあり。また、後頭骨と頚椎1番の間の「C0-C1関節」に動きの低下が見られる。その関節の周辺、特に左側にもトリガーポイントあり。
原因分析
左顎の痛みを直接引き起こしているのは、咬筋のトリガーポイントである。ただ、その左顎にかかっている負担は、「C0-C1関節」の動きの悪さが原因となっている事が多い。C0-C1関節は、顎関節との距離が非常に近く、その関節の動きの悪さが、下顎の動きを制限してしまうことがある。
また、口を開けられない原因としては、普段ストレスを感じると噛みしめてしまうことが多いらしく、そのためか下顎を前に出す動作(前方滑走)が正しく出来ていない。下顎の「前方滑走」は、周辺のトリガーポイントや、かみしめ等によって阻害されてやすく、正常な顎の場合は、特に意識をしなくても前方滑走が出来ているので、大きく口を開ける事が出来る(下図参照)。
施術プラン
首周辺、顎、特に咬筋のトリガーポイントにアプローチし、筋肉の緊張を緩和。原因の一つと思われる「C0-C1関節」にも必要な動きを加えて行き、正しい方向に矯正。また、前方滑走がスムーズに出来るようにするためには、適切な体操やストレッチで、下顎の使い方を練習していく必要がある。具体的には、顎を前に出すための筋肉である、外側翼突筋の使い方を練習していく。長期的には、肩甲骨、背筋の使い方を覚え、姿勢を改善し、トリガーポイントの再発を防ぐ。
経過
施術1回目
まだ口を開ける事自体が辛いとのことなので、まずは筋肉の緩和操作を中心に施術。特に、「C0-C1関節」付近のトリガーポイントはかなり活性化しており、押圧により、顎の痛みや頭痛などの症状が再現された。最後に、首に負担をかけないようにするための体操を指導。朝、夜と一日2回行う。
施術2回目
初回の施術後はとても眠くなり、翌朝の顎の痛み、違和感は少し軽減していたとのこと。前回と同じく、筋肉を中心に施術。首の後ろ側のストレッチを指導。
施術3回目
少し口が開くようになってきたので、下顎の動き(前方滑走)の練習を開始。顎の体操は一日3回、歯磨きの時に行う。
施術4回目
顎の体操が、慣れてくると気持ち良かったとのこと。身体は、本来の動きを取り戻すと、動かす事に対しては気持ち良さを感じられるもの、という旨を説明させて頂きました。最後に、顎の体操の復習と微調整。
施術5回目
調子は良い。朝、口が開かなくなることは無くなったとのこと。術後、姿勢に関しての説明。背骨全体に自分で動きをつける体操を指導。
ここからは提携歯科医院の片桐歯科医院での噛み合わせ治療も同時進行で行っていきます。
片桐歯科医院 施術1回目
専用の検査機器で顎の位置を検査。寝ている間の噛みしめ軽減と顎の位置の安定のため、スプリント療法を行う。夜間装着用のマウスピースを制作。(片桐院長)
代々木あおいカイロ 施術6回目
片桐歯科医院で制作したマウスピースを付けた上で、顎関節の動きを検査。左側にもともとあったクリック(異音)が軽減している。「C0-C1関節」はどうしても動きが少なくなりがちなので、動きを補う形で矯正。パソコン仕事中の座り姿勢を指導。
片桐歯科医院 施術2回目
スプリント療法により、噛み合わせ位置が本来の自然な位置に戻ってきたので、その位置でしっかり噛めるように、歯の数か所を切削。既に顎の調子はかなり良いので、削る量は微量でした。(片桐院長)
代々木あおいカイロ 施術7回目~現在
顎の調子はとても良く、痛みや、口が開かなくなる症状はほぼ消失。前回行った姿勢の練習で、自分がいかに今まで姿勢が悪かったかを実感できた様子。今後は更なる姿勢の向上と、お仕事の負担軽減のためのメンテナンスをご希望。現在は2週間に1回のペースで来院中。